文系でも頑張る

スイスで圧倒的に強い人達に出会った文系大学生が、なんとか強くなろうとあがく日記です。

「戦略プロフェッショナル」〜頭でっかちにならないために〜

さて、英語の勉強にもなるしただでPDF落ちてるから英語でちょっと古めの名著を読むのはすごくいいんですが、それだと得られる絶対的な知識量も少ないので、ざっくばらんに日本語で多読していくことも並行して行いたいと思います。
一冊目に選んだのは、私の大学の1年生の経営学の入門授業で毎年特別授業をしてくださっています、三枝匡さんの「戦略プロフェッショナル(amazon)」
これね。

三枝先生はちょっとでも話を聞いてないのがわかると、「こっちは別の仕事切ってきてるんだよ!」とブチ切れる。それであんまり好きじゃないという友達もいましたが、プロとしてのプライドみたいなのを感じてむしろ今の僕ならすごく惹かれると思います。実際経歴強すぎますからね
僕はどこかで、プロフェッショナルになりたいなと思ってるので(笑)、タイトルから入って読むことにしました。
三枝先生、2年越しに今から読みますんで許して下さい、って感じです。笑
あと、授業をしてもらった関係もあり、「さん」と呼ぶよりしっくりくる「先生」が接尾語なり代名詞なりになっています。

さて、雑談はこれくらいにしておいて早速レビューに移ります。
感想を一言で言うと、痛快。一日で読み終わりました。
三枝先生といえばボストンコンサルティンググループの日本最初のコンサルタントであり、不振企業の経営債権の専門家として有名かと思いますが、この本はそんな三枝先生の最初の著作です。
先生が実際に経験した事例をベースに、「広川」という男が主人公として一つの会社を抜本的に改革する物語の形式をとっています
結局(戦略)コンサルタントって、どんな事するんだろうと思っている方や、理論は知ってるけど経験はあまりない学生におすすめだと思います。
まあ、詳しくは買って読んでほしいです。kindleで800円くらいなはず。

さて、私が学んだことはたくさんあるんですが、今回は以下のようにまとめたいと思います。

1.戦略とは「絞り」と「集中」だが、それには切り込み隊長的リーダーが必要
2.良い戦略は単純明快である
3.戦略は、実践されなければ意味がない
←これが一番大事

1. 戦略とは「絞り」と「集中」だが、それには切り込み隊長的リーダーが必要
企業にせよ、人間にせよ、持っているリソースには限りがあります
限りあるリソースを割く対象を絞り、限られたターゲットに集中することが、戦略の要というわけです。
当たり前かもしれませんが、沢山の人が複雑に関係する企業やその他組織においては、組織内の人間が全く別のベクトルを向いていて、組織として大きな力を持てずにいるということが往々にしてあります。
複雑に絡み合う関係を整理し、一つの方向に向かせるためには強力なリーダーシップが必要になります。
それは、大いなる責任をおって、これまでと違う何かをするということを意味しますから、責任の所在がはっきりしにくい企業、日和見的な考えが浸透している企業では、戦略のいろはすら怪しくなってくるわけです。
そうすると外部のコンサルに高いフィーを払って仕事してもらうことになるのですが、このように戦略を立てる「智」と、企業のリーダーたる「将」が分離すると、組織は短期的成果主義に陥り、破滅する可能性があることを三枝先生は指摘します。お金を貰っている方からしたら、商品開発などの成果がなかなか認識されない長期視点の改革よりもM&Aなどのすぐに成果が出る短期的な変化のほうが楽ちんだし評価されやすいからです。
そういったその場しのぎ(言いすぎかもしれませんが)の手段ばかりとっていると、企業としての自力が失われて破滅するかもしれません。
モテたいからって整形に手を出しまくって破滅するのと一緒かもしれませんね。本当は内面なり外見なりを自分の努力で磨かないといけないわけです。
こんなこと言ってますけど僕は人生においてモテたことないんで誰かコンサルしてください。

それを防ぐためには、別の言い方をすれば、企業が長期思考の戦略を遂行するためには、先兵となって攻めていくリーダーが必要になってきます。
そんな切り込み隊長的リーダーのプロとしての経営能力こそが、「戦略プロフェッショナル」としての能力だと。
要は、現場に立って一緒に責任をおって改革の中心となり皆を先導するリーダーです。モーセ的な。

かつ、そのリーダーは戦略的な責任を追いつつも、人間的な側面を持たないといけないという究極の課題に直面するわけです。
「絞り」はいらなくなった物事を捨てるわけですから、ドライな人が向いているのに、ドライな人は人間的な側面が弱いから人がついてこない、みたいなことが起こります。
どちらかに強みがあって、もう片方も持ち合わせているというのが現実的な妥協点でしょう。

戦略的な意思決定を取るためには、優れたある種のリーダーシップが必要だということですね。

2. 良い戦略は単純明快である
戦略論って、一般化されすぎてて、結局役に立つのだろうか?
そう考えている方も多いのではないでしょうか。僕もそう思っている部分が大きいです。
人間関係、社会は曖昧さを残しておかないと立ち行かないという観念が、日本で戦略論が受け入れられない一因になっていることを三枝先生は指摘します。
でもそもそも「企業戦略論は、現実を単純化して問題の核心に迫ることが役割」なので、純化されていて当然なのです。
明快な戦略論は、組織内において一貫性を持ちながら理解されるという側面を持つことも特筆すべきでしょう。
管理職の人が以下に戦略に明るくても、末端の人間、あるいは上の人間に理解されない複雑すぎる戦略は実行が難しいです。
そしてそもそも、複雑すぎる戦略はあまりいい内容のものがないとのこと。
三枝先生によれば、それは営業のセールストークと同じで、売れる商品であればあるほど、説明はそんなに難しくなく、逆に差別化要素の少ない商品ほど数少ない差を説明するために複雑な解説を要するのと似ているといいます。
単純なモデルでいいから、現状をいかに正確に分析するか、妥当な判断をいかにして下すかに尽力すべきだというわけです。
著作権の関係で図を載せられるかわかんなかったので口で説明しますが、三枝先生が企業戦略において考えるのはたった2つのグラフだそうです。
1つ目はかの有名なプロダクト・ライフサイクルのグラフであり、もう一つはそれとプロダクト・ポートフォリオに即した企業の成長ルートに関するものです。

簡単に2つを説明しておきます。
プロダクト・ライフサイクルのグラフというのは、一つの製品において、導入(誕生)期、成長期、成熟期、衰退期の時系列に沿って市場規模がどのように変化していくかを示したグラフです。導入期は市場の成長は極めてゆっくりですが、成長期に入ると急速に成長し、成長が落ち着いてくると成熟期に移り、最後は衰退するというおなじみの流れです。自社の製品がどこに位置しているかを把握することが、戦略を立てる上での一つの柱になります。
企業の成長ルートとは、プロダクト・ポートフォリオを企業に適用したようなものです。成長率と競争ポジションを基底とした2×2のマトリックス(4つの四角形からなる)において、企業がどのように動いていくべきかを明快に示してくれます。プロダクト・ポートフォリオ(・マネジメント)もボストンコンサルティンググループが作ったわけですから、BCGすげえってなりますね。具体的には企業は成長率の高い市場に参入し、競争ポジションを確立し、市場が成熟しても競争優位を効かせるというのが理想なのですが、自社がそのルートに乗れているのか、乗れていないならどこに動くべきなのかを考えなければなりません。大いなる決断(撤退)をしなければならないこともあるでしょう。

3. 戦略は、実行されなければ意味がない
現状を分析し、単純明快な戦略論を当てることで問題を詳らかにしたとしても、実践されなければ意味がありません。
実践が全てなのです。実践が全てです。
僕が数学の師匠からこのブログを見て頂いたアドバイスとして「頭でっかちにならないように」というのがあります。
現状会社で働いてない私は、実践の場にはいません。できることといえば勉強くらいでしょう。
日本の社会人の中には、戦略理論の勉強はしたが実践はしていない「インテリ戦略マン」が多いといいます。
しかしこれはチャンスでもあります。戦略的思考において日本がブルーオーシャンだからです。
戦略の実践には2.で説明した単純明快な良い戦略と、1.で説明したリーダーシップの両方が必要です。
すなわち、戦略的思考ができる優れた頭脳、リーダーとしての責任を負い、意思決定できる度胸、リーダーとしての人間的側面などを持ち合わせることが必要になります。

以上が今回のまとめになります。
戦略プロフェッショナルなるものがいかに難しい仕事かということは容易に理解できますね。
でもこの本を読むと、自分に何が求められ、何が足りていないか明確になると思います。戦略プロフェッショナルは決して天上人の仕事ではありません。
今すぐは無理でも、努力したらプロフェッショナルにはなれる。そう感じられました。
この本の良いところは、具体的な物語ベースであると同時に、ちょこちょこ第三者的視点での考察が挟まれること。
自分が主人公になりつつも、俯瞰した視点も得られるので学びが多いようにかんじました。
この本の魅力が僕の貧弱な要約力とレビュー力で伝わったかはわかりませんが、もし興味が湧かれた方ご一読されることをおすすめします。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。