文系でも頑張る

スイスで圧倒的に強い人達に出会った文系大学生が、なんとか強くなろうとあがく日記です。

Innovator's Dilemma Vol.3 第2章 ~Value Networkという概念~

今日も今日とてChristensenのInnovator's Dilemmaです。
他の本も読みたいのですが、いかんせん僕はマルチタスク系の人間ではないのでまずはこれを読み切りたいですね。
前章では、ストレージ業界の大企業たちが、スペックは劣るも小型化された新たなHDDの登場によって新参者たちに負かされていく様子が3つのfailureを通じて説明されていました。
ではなぜこのような失敗が起こるのか、その原因を分析し、失敗を防ぐための新たな概念が、Value Networkです。
今回は、
・ストレージ業界の例をはさみつつValue Networkについての説明
・付随して述べられていた典型的な企業の失敗パターンの紹介
商学の面白さについて語る(完全に自己満)

の三本立てとなっております。

三本立ですが、8割は1つ目について書いてます。
文章は書いた人の人となりを表すものですが、まさか頭でっかちという僕の身体的特徴までこれでバレてしまうのは面白いですね。
ちなみに、習字でもなんでも頭でっかちになります。辛い。

Value Networkについて説明する前に、先人たちのフレームワークを紹介しておきます。
どんな学問もそうですが、自分が「新しい」と称するものが、実は先人たちによって大昔に提唱されていた、ということはよくある話です。
クリステンセンもそこに配慮してだと思いますが、これまで提唱されてきた説を2つ紹介しています。

1. 組織構造・マネジメント原因説
例えばHendersonとClarkによる「Architectural Innovation」によれば、企業は組織化され複数のグループにわかれているため、各グループ内においてイノベーションを起こすことは可能だが、その組織構造を根本から変えて取り組まなければならないイノベーションを起こすことは困難である、といった主張があります。既存の製品に最適化された組織構造が、逆に作ることのできる製品を定義してしまうと。文系と理系で分けられて仕事をしている組織が、文理融合型のイノベーションを起こそうと思ってもその組織構造が邪魔をしてくるわけです。
2. Radicalな変化に開発のキャパが追いつかない説
今までと全く異なる技術が必要とされる局面に企業が遭遇すると、Incrementalな技術開発にリソースを割いてきたリーダーたちのお先は真っ暗、フレキシブルに意思決定できるスタートアップや新参者たちに出番が来る、という主張ですね。伝わるかわかりませんけど、マリオカートクッパキノピオ並みのハンドリングを要求しても、Maxスピードの向上にひたすら勤しんできたクッパには無理みたいな話だと思いました。いや、この例えいらん。もっといい例思いつき次第書き換えます。

さて、ではストレージ業界の失敗はこの2つで説明できるでしょうか。
少なくとも2.では説明できないでしょう。HDDに起こった変化の中でリーダーたちが対応できなかったのは「小型化」のみですから。技術的には全くRadicalではありません。
1.はどうでしょうか。完全に無関係とは言えないと思いますが、ストレージ業界で起こっているすべてのことを説明するには不十分な気がします。小型化を進める上で、組織的な変化が必要だとは思えないですから。

ここで、それを説明するために考えられたのがValue Networkというわけですね。思いついたとき絶対ドヤ顔したでしょうね。
科学者、いや人間にとって自分がなにか新たなアイデアを思いついて、しかもそれが役に立つとわかったときの喜びはひとしおなはず。
Value Networkとは、企業が顧客のニーズの捕捉、調達、課題解決、競合への対応などといった利益を出すための一連のステップを踏む上でのコンテクスト、だそうです。
日本語にすると絶妙にわかりませんね。これは僕の日本語力の問題でしょう。僕の意見ですけど、外国語の理解に最も大切なのは母語の理解だと思います。自戒。
というかコンテクストという単語がややこしいんですよね。大学入試の現代文で何回出てきたことか。
ここでのコンテクストとは、まあ脈絡のことでしょうね。思考や行動のフローを決定する存在だと思われます。
例えば、Value Networkには、買い手とのやりとりを左右するコマーシャルシステム、それに伴う利益体系なども含まれてくるわけです。

いや、ようわからへんわ。という方いらっしゃいましたらお気軽に質問くださいませ。
僕の理解力と日本語力の問題なので。

そして新たなテクノロジーのEconomic Valueを決めるのは、このValue Networkのもとで鑑みられた、各企業の競争戦略やマーケットの現状というわけです。
このValue Networkのもとで、イノベーションが企業にどれほど価値があるか判断されるわけです。

これまでの研究では、企業の失敗の原因を企業に見出していましたが、Value Networkという概念は、競合他社やバリューチェーンといった要素が織り成す「流れ」に注目するもので、扱える問題が増えることは間違いありません。

同じストレージでも、それが何の機械に組み込まれ、その機械が何の用途に用いられるのかによってValue Networkは全く別物になります。
同じ業界でも、複数の全く異なるValue Networkがあり、製品のどのような特徴が価値とされるのか、そしてその価値の順位付けは変わってくるというわけです。
メインフレームに関わるValue Networkとラップトップに関わるValue Networkでは、ストレージに求める価値は全く異なってくるわけです。

これまでの価値観を揺るがすようなDisruptiveなイノベーションは、既存のマーケットで反映している企業のValue Networkを通せば、利益性に乏しい、あるいは利益がどれほど出るかわからない代物になってしまうのはなんとなく想像がつきますね。そして、企業は同じValue Networkに長くいると、組織構造や企業文化、開発体系などをそのValue Networkに合わせて改変していきます

なんとなくValue Networkの想像はついてきたでしょうか。
Value Networkは一つ一つが独立しているときは平和なのですが、そんな理想的な状況はほとんど起こりません。
それでは異なるValue Networkが接触したときに起こることとは何なのでしょうか。

ストレージ業界のリーダーたちが姿を消したのは「コンパクト化」に目を向けなかったからですが、それは容量や堅牢性、コストに重きが置かれるValue Networkに彼らが属していたからです。
彼らが市場を席巻している間に、コンパクトさに重きを置くValue Networkが登場しますが、この2つのValue Networkは当初別々のものでした。
しかし、後者のもとでコンパクト化されたHDDは、容量と堅牢性、コストにおいても既存の製品を凌ぐようになり、前者においても求められる存在になりました。
あとは、前回説明したとおりですね。

既存の技術の進歩は、いずれ鈍化しますから、どんな企業も新たな(sustainingな)技術を探すわけですが、鈍化するのを待つ前にDisruptiveな技術がすべてを持っていってしまうということもあるわけですね。

以上が今日のメインの内容でした。
以下にクリステンセンが見出した典型的な失敗パターンを載せておきます。

1. Disruptiveなテクノロジーが既存の企業によって見つけられる
2. そのテクノロジーについて、顧客の反応を伺うも、芳しくない
3. その企業は素直にSustainingなテクノロジーの開発に勤しむ
4. 試行錯誤の結果、新参者によってDisruptiveなテクノロジーの需要(マーケット)が見出される。
5. 新参者が既存のマーケットに侵入してくる
6. 既存の企業は顧客を守るため遅れて開発に参入する

Disruptiveなテクノロジーは、最初はリーダーたちによって開発されることが多いようです。
しかしながら、顧客を含むValue Networkによってその価値は少なく見積もられます。
そうこうしている間に新参者たちが頑張って形成が逆転していくわけですね。
悲惨なことに、顧客を守ろうと遅れて開発に参入した企業は、自社の製品同士で共食い( カニバリゼーション)が起こりますし、技術的にもビハインドがあるので、負けてしまうというわけです。

今日も最後まで読んでいただいてありがとうございました。
段々と内容をまとめるのが難しくなってきました...
2日で一章ほどしか進まないのですが、始めたので最後までやりたいとは思ってます。
ここまで読んでくださってるみなさんは、きっと商学の何かしらに興味ある方だと思うので、最後に少しだけ僕の思う商学の面白さを書いて締めたいと思います。

商学は、社会というカオスをビジネスという切り口で見る学問だが、正解というものがない。
先人たちが数多くの企業からボトムアップ的に作り上げたフレームワーク、法則のようなものを用いながら、「最適解」的な判断をするしかない。
そして、その判断が妥当であったかは、年数を経てわかるかもしれないし、わからないかもしれない。
運もあるし、努力より才能でうまくいく人も多い。

ほら、やっぱり面白そうじゃないですか。笑